訪問看護計画書の作成に必要なものは?書き方の基本を覚えよう
看護師資格を持っている人が働ける場所は、病棟だけではありません。 体のことに不安を持った地域の人たちをサポートする訪問看護という仕事もあります。
訪問看護の仕事では、訪問看護計画書の作成が必須です。実際の仕事は、事前に作成する訪問看護計画書に沿って行われます。 そこで、この記事では、訪問看護計画書の役割や目的、具体的な書き方について解説します。
目次
訪問看護計画書とはどういうもの?
訪問看護計画書とは、訪問看護サービスで提供するサービス計画の内容を具体的に記載したものです。 計画書は主治医の指示に基づいて作成されます。
そもそも訪問看護とは、在宅で療養生活を送っている人から依頼を受け、依頼者の自宅を訪問し、看護を行うことです。 1週間に数回、1回につき数時間の訪問のなかで、患者それぞれに応じたケアを行うことが求められます。
患者の自宅での訪問看護では、決められた時間内に必要とされるケアを十分に行うことが大切です。 また、通常であれば、1日の間に複数の利用者の家を回ることが求められます。
そのようなことから、訪問看護サービスを実施する前には、訪問看護計画書を用意することが必要です。 計画書に看護やリハビリの目的を記載しておくことによって、短時間の準備でも的確なサービスを提供できるようなります。
併せて、訪問看護計画書は、介護保険や医療保険の給付対象かどうかをわかるようにしておくために記載する書類でもあるのです。
ただし、さまざまな情報が記入される訪問看護計画書ですが、患者からの依頼を受けるとすぐにすべての内容が記されるわけではありません。 具体的なサービス内容が記載されるのは、訪問看護指示書を受け取る段階に入ってからです。
訪問看護指示書とは主治医の指示が書かれた書類を指します。
→訪問看護指示書とはどういう書類?種類と書類の見方を理解しよう
訪問看護指示書との関係は?
訪問看護は、必ず主治医の指示に基づいて実施されなければいけません。 このため、訪問看護計画書に記載される内容も、主治医の指示に基づいたものであることが必要です。
つまり、訪問看護計画書は訪問看護指示書に書かれていることをベースにして作成します。 訪問看護指示書に記載されていない支援は、主治医の指示に反するものとなるため、原則実施することはできません。
また、状況によっては、看護師が自らの経験を踏まえて必要と考える支援を、患者に提供したいと思うケースもあるでしょう。
しかし、看護師が訪問看護指示書に記載されていない内容を、勝手に訪問看護計画書に盛り込むことも、 それについて実行することも許されていません。
どうしても盛り込まなければいけないと思うような課題が生じた場合には、 訪問看護計画書を作成する際に主治医からの指示を仰がなければならないというルールになっています。
訪問看護計画書を作成する目的は?
そもそも訪問看護計画書を作成するのは、主治医と訪問看護師の間で的確な連携が取れているかを確認することが目的です。
患者のもとを実際に訪れる訪問看護師が、主治医からの指示をきちんと反映させたサービス提供を行えているかどうかは、 適切な訪問看護を実施するうえで重要なポイントとなります。
主治医との間で確実な連携を取りながら、正しく訪問看護サービスを提供できるようにするために、 訪問看護計画書と訪問看護報告書の主治医への定期的な提出は必須です。
実際に患者宅へ訪問をしたときに記録が必要とされるようなことは、訪問看護報告書に書き込めるようになっています。
訪問看護計画書の書き方は?
訪問看護に携わる看護師であれば、訪問看護を行うにあたり作成が義務付けられている訪問看護計画書を作る機会を持つこともあるでしょう。 そこで、ここでは、訪問看護計画書の具体的な作成方法について解説します。
1.ひな形を使って必要事項を記載する
訪問看護計画書にはひな形があります。
ひな形を利用すれば、項目に応じて必要事項を記載するだけとなるため便利です。 そこで、ここでは、訪問看護計画書のひな形を使った作成方法について説明します。
まず、ひな形は、日本訪問看護財団のホームページなどから入手可能です。
日本訪問看護財団を利用するのであれば、公式サイト内で「便利なひな形集」として紹介されている「2018年版 訪問看護関連報酬・請求ガイド」掲載のひな形様式も利用できます。 掲載されているひな形にはxlsx版とpdf版があり、自由にダウンロード可能です。
ひな形を手に入れたら、空欄に必要事項を記入していきます。
まず記入するのは、利用者の基本情報です。氏名や生年月日、年齢、住所といった基本の個人情報のほか、要介護認定の状況も明記します。 さらに、看護やリハビリテーションなどを通して目指す目的も記載が必要な事項です。
サービスを利用する患者がどのような状態になることを目的として訪問看護を利用したいかについて具体的に明記します。
メインとなる訪問看護計画欄に記入するのは、計画書の作成日、具体的な課題とそれを解決するための支援方法、実際の支援に対する評価です。
加えて、サービスを提供する際に必要となる衛生材料の有無、種類やサイズ、1ヶ月の使用量についても、処置の内容ごとに記入します。 備考欄には、患者宅の訪問計画や、ほかに介護保険や医療保険のサービスを利用しているのであれば、その状況なども書き込みましょう。
最後に、訪問看護のサービスを行っている事業者の署名と押印も忘れないようにします。
2.ソフトを利用して電子媒体で記載する
訪問看護報告書はソフトでも作成可能です。
使用するのは訪問看護専用のソフトで、タブレットなどの電子媒体により記載します。 このソフトは、日々の訪問看護の内容を記録するためのものですが、日々の記録から当月の報告書や次月の計画書を作ることもできます。
看護業務が忙しいと、計画書や報告書の作成に十分な時間が取れないこともあるものです。 なかには、残業して作成している人もいることでしょう。
しかし、ソフトを上手に活用することで、作成にかける時間を節約し、 残業を減らすことができたり、時間に余裕が持てたりするようにもなります。
そして、結果として本業である看護業務に集中できるようにもなるのです。
また、訪問看護に関する情報は、複数のスタッフが常に正しい内容で共有していることが求められます。 しかし、関わる職員が個々で作成していると、書類に記載する報告内容の形式に違いが生じてしまうこともあるものです。
そのような際には、ソフトを使って記載形式を統一化すれば、転記間違いなどを防ぎ、管理もしやすくなります。
計画を実行したら訪問看護報告書を作成
訪問看護を行う際に、訪問看護計画書と併せて大切な書類が、訪問看護報告書です。
訪問看護報告書は、訪問看護計画書に基づいたサービスを提供した後、必ず作成しなければいけない書類となっています。
報告書を作成する頻度は、訪問看護計画書と同じく月1回で、提出先は主治医です。
報告書を作成する目的は、訪問看護計画書に基づいたサービスが行われていたかを確認することにあります。 これは、そもそも訪問看護計画書が、主治医が交付した訪問看護指示書に基づいた内容でなければいけないとされているからです。
ただし、サービスを提供し続けるなかで、患者の状況が変わってくるケースもあるでしょう。 そのような際には、報告書の内容に応じて指示内容が見直される場合もあります。
もし、指示内容が主治医によって変更されたときには、訪問看護計画書の内容も書き換えなければいけません。
訪問看護計画書と訪問看護報告書の内容は常に連動していることが必要となります。
理学療法士等のリハビリはどうやって記載するの?
訪問看護を利用する患者が関わるのは、看護師だけではありません。
訪問看護ステーションに所属する理学療法士や作業療法士、言語聴覚士らも訪問看護先でリハビリを行うことがあります。 訪問看護ステーションの訪問看護師は、リハビリ専門の職員が行うリハビリに関する情報も、必ず把握しておくことが大事です。
リハビリに関する訪問看護計画書も訪問看護報告書も、 看護師とリハビリ専門職員で患者の情報をきちんと共有したうえで記載することが求められます。
それぞれで提供したサービスなどの情報を、関わったすべてのスタッフが共有することによって、 はじめて連携の取れた良質なサービスが提供できるようになるのです。
また、作成する書類の形式に詳細な決まりはないため、 訪問看護師とリハビリ専門職員それぞれが別様式で計画書や報告書を作成することもできます。
しかし、別形式で作成する場合でも、必ず、相手の作成した書類の内容をそれぞれがきちんと踏まえておくことが必要です。
訪問看護チームの連携に必要な書類
訪問看護計画書は、自分らしい生活を送りたいと願う患者が自立に向けて正しく療養を実行するために、 訪問看護報告書と併せて大切な書類です。
訪問看護師にとって、共に患者を支援する主治医や理学療法士などのリハビリ専門職と連携した協力体制を取るために欠かすことができません。 訪問看護の現場で活躍するのであれば、看護計画書の意義や目的、作成方法を理解し、適切な看護サービスを提供できるようにしておくとよいでしょう。
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