訪問看護はなぜ必要?在宅患者を看護する意義と看護師に求められること
通院治療や入院治療があるなかで、なぜ在宅療養における訪問看護が必要とされるのでしょうか。 治療に必要な機材や道具、スタッフが揃っている病院とは違い、 患者の自宅にて看護を行うことに不安がある人もいるかもしれません。
この記事では、訪問看護の意義ややりがい、訪問看護師に求められることなどについて解説します。
目次
訪問看護が担う役割とは?
訪問看護が担う役割とは、どのようなものなのでしょうか。主な役割3つについて解説します。
1.病院療養から在宅療養への移行をスムーズに行う
訪問看護は、病院療養から在宅療養への移行をスムーズに行う役割を担っています。 厚生労働省の考えとしては、2025年までに地域包括ケアシステムを実現したいとしています。
地域包括ケアシステムとは、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、 医療や介護、生活支援などが一体的に提供されるものです。
人口は増えていないにも関わらず高齢者の数が急増している大都市部、高齢者の数は増えていないが人口が減っている町村部、 それぞれに合った地域包括ケアシステムの構築をしていかなければなりません。
高齢化が進み要介護者が増えていくなかで、限られた病床を効率的に使う目的があるといえるでしょう。 病院での長期療養となると、医療費負担も大きくなりますし、 病院へ通う患者家族の体力的な負担や精神的な負担も大きくなっていきます。
患者自身も住み慣れた自宅での療養を望むケースが多く、患者家族もそれに賛同する場合が多くあります。 入院せずに療養が可能な病気やケガに関しては、訪問看護で対応すれば自宅での療養が可能になるのです。
2.住み慣れた自宅での療養を可能にする
終末期医療における訪問看護は、患者が住み慣れた自宅で家族と過ごしながら療養することを可能にします。 訪問看護があることによって、患者は残りわずかな人生の時間を病院ではなく自宅で過ごすことができるでしょう。
患者や家族の希望を取りいれた形で、最期を迎える体制を整えることもできます。 患者や家族にとって、悔いの残らない形の看護を提供することができるのです。
3.家族による看護をプロの立場でサポートする
在宅療養で日常的な看護にあたるのは、患者の家族です。 しかし、家族の力だけでは難しいのが現実であり、介護離職や老老介護などさまざまな社会問題となっています。
看護のプロである訪問看護ステーションが中心となり、主治医や専門のリハビリスタッフ、 行政や地域住民などが連携を取って看護にあたるのが理想的でしょう。
終末期の患者は精神的に不安定な状態になることも珍しくなく、患者の気持ちをくんでサポートするのも訪問看護の役割です。
患者の家族も日常的な看護で疲弊してしまうことが多く、内情を知ったうえでアドバイスやサポートができる人が必要になります。 ときには、患者と患者家族が険悪な雰囲気になることもあるでしょう。 そういった場合に、うまく関係修復につなげられる可能性があるのは日常的に関わっている人だけです。
患者のことも患者家族のことも、精神的にも体力的にもサポートできるのが訪問看護なのです。
訪問看護における看護師の仕事内容は?
訪問看護における看護師の仕事内容には、さまざまなものがあります。
1つ目は、全身の健康状態のアセスメントを行うことです。 バイタルチェックをすることや、病状の変化を観察することが必要となります。
2つ目は、患者の日常生活を支援することです。栄養管理や食事指導、排せつの介助や入浴の介助などがあります。 介助をしても入浴することが患者の負担になるようであれば、清拭で対応するほうが適切な場合もあるでしょう。
3つ目は、患者を心理的に支援することです。 精神的に安定した心地のよい療養生活を送れるように、患者からの信頼を得る必要があります。
最初は雑談をするなどして、他愛のない話題を振っていくのが望ましいでしょう。
患者が訪問看護師に心を開くと、どのような生活を望んでいるのかどのような最期を迎えたいのかなどといった希望を話してくれる可能性が高まります。 病院では患者とゆっくり話す時間を持てないことが多く、意向を聞く機会がほとんどない場合が多いでしょう。
しかし、在宅療養をしている場合は患者の性格や好みを知ることができ、希望に寄りそった形で支援していくことができるのです。
4つ目は、家族の相談にのったりアドバイスしたりすることです。 患者の意向と家族の意向とが、必ずしも一致しているとは限りません。 家族は家族で、看護する側の悩みを抱えているケースもあります。
看護のプロとして、家族の話を聞いたり必要であれば利用できる制度の紹介をしたりすることが望ましいでしょう。 看護をしてもらっている手前、家族に本音をいえずにいる患者もいます。
そのような場合には、家族に患者の意向をうまく伝えて、意向のすり合わせをしていくことが求められるでしょう。
5つ目は、注射、点滴、服薬管理、カテーテルの管理、人工呼吸器の管理などの医療的ケアです。 医療的ケアは、基本的に主治医の指示通り行うことになっています。 家族が行うことのできる医療的ケアを家族に教えるのも、看護師の役割です。
6つ目は、終末期の痛みの緩和やコントロールです。
患者が残りわずかな人生を治療にあてるよりも、 好きなことをしながら過ごす充実した生活を望んでいるのならば、痛みの緩和が必要でしょう。 強い痛みにさいなまれていると、気力や意欲が失われてしまいます。
治療を続けながら、痛みのコントロールを試みるケースもあります。
7つ目は、床ずれの予防や処置、肺炎の予防などです。 寝たきりの状態や寝たきりに近い状態の患者は、床ずれのリスクがあります。 体位交換するなどして、床ずれを予防する必要があります。
すでにできてしまった床ずれがあれば、継続的に処置をしていく必要があるでしょう。 寝ている時間が長い患者だと、呼吸機能が弱まって肺炎のリスクが高くなります。
8つ目は、記録をつけて主治医へ報告することです。 主治医よりも頻繁に患者と接する看護師が患者に関する記録をつけて、 何か変化があればすぐに主治医へ報告することも看護師の役割です。
訪問看護に必要なスキルとは?
訪問看護に必要なスキルとは、いったいどのようなものなのでしょうか。 主なスキルとして挙げられる3つについて解説します。
1.看護師としての十分な臨床経験
訪問看護は、看護師が1人で患者の自宅を訪問して処置を行うケースがほとんどです。
基本的には医師の指示書に基づいた看護を行いますが、 緊急時などは自分自身の判断で処置を行わなければならないこともあります。 周りに相談する相手がいないなかで適切な対応をするために、看護師としての豊富な臨床経験が役立つでしょう。
特に、患者の容体が急変したときや看取りが必要になったときは、臨床看護で適切な対応ができていたかどうかが大きく影響します。
場所が患者の自宅になり、1人で対応しなければならないということ以外は、入院の看護とほぼ同じです。 しっかりとした臨床経験を積んできたことが、大きな強みとして活かされることになるでしょう。
2.高いコミュニケーション能力
訪問看護師は、不安な気持ちを抱える患者に寄りそい、日常的に看護をする患者の家族とも協力しなければなりません。
患者や家族の声によく耳を傾け、声をかけながら心を通わせる必要があるでしょう。 患者の様子から精神面の状態を読みとったり、患者家族の話から介護疲れに陥っていないか読みとったりしなければなりません。
高いコミュニケーション能力が必要だといえるのではないでしょうか。
また、訪問看護は単独で成立するものではなく、主治医や専門のリハビリスタッフ、 行政担当者や地域住民などと連携を取りながら協力して行われるものです。
患者の様子や家族の様子などを、本人たちの意向にそう形で関係各所へ伝えることが望ましいでしょう。
3.緊急時に不可欠な冷静さと判断力
患者の容体が急変した場合や、最期を迎えたときなど、看護師が冷静に対処しなければならないケースがあります。
看護師があたふたすると患者の家族が不安になってしまうため、適切な対処を冷静にできることがとても重要です。 看護師1人での訪問が多く、緊急時には医師や上司の指示を仰ぐことなく自分自身で判断をしなければならないときもあります。
迷わずに、何をすべきか選べる判断力が必要不可欠でしょう。
訪問看護はやりがいのある仕事
訪問看護は、患者と1対1で向き合い、1人の患者に時間をかけた看護ができることが魅力です。 指示を仰がずに自分自身で判断しなければならない場面が多いのは、責任を伴います。 しかし、1つ1つの経験が看護師としての大きな成長にもつながるでしょう。
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