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訪問看護制度とは?訪問看護を受けられる機関やサービスについて解説

 高齢化が進行していることに伴って、自宅療養者が増加しています。 そのため、訪問看護の需要も高まっていくと考えられています。 しかし、現状では訪問看護はあまり普及していません。

 そのため、制度の詳細や利用方法について、よく分からないという人も多いのではないでしょうか。 この記事では、訪問看護制度について詳しく解説していきます。



 

訪問看護制度とは

 訪問看護制度とは、その名の通り看護師などが自宅に訪問して看護サービスが受けられる制度です。

 病気や障害を持っている人が自宅でも治療が受けられるように、1983年に訪問看護に関する制度が発足されました。 訪問看護では、主治医から交付される訪問看護指示書に基づいて、看護師が治療やケアを提供することが特徴です。

 そのため、病院と同様のサービスを自宅で受けることができます。 訪問看護は、病気や障害があり、健康保険証を持っている人なら誰でも受けることが可能です。

 訪問看護は医療保険、もしくは介護保険のどちらかを適用することになりますが、 どちらになるかは看護を受ける人の症状や状況によって異なります。

 このような訪問看護制度はなぜ導入されることになったのでしょうか。 訪問看護制度導入の背景や必要性について見ていきましょう。"

 

訪問看護制度が導入された背景

 訪問看護制度は、1983年の老人保健法によって法的に成立しました。 しかし、当時の訪問看護はニーズも高くなく利用者も少なかったため、高齢者のみを対象にしたサービスでした。

 1992年には、少しずつ需要が高まっていき、民間による訪問看護サービスを求める声が大きくなります。 そのため、同年に老人保健法の一部改正がおこなわれて、 65歳以上を対象とした老人訪問看護制度が創設され、老人訪問看護ステーションが生まれたのです。

 このため、在宅で寝たきりの老人などに、 老人訪問看護ステーションから訪問看護のサービスを提供することが可能になりました。

 1994年には、健康保険法や医療法の改正によって、「指定訪問看護制度」が誕生します。 これによって、高齢者だけでなくすべての年齢の在宅療養者に対して訪問看護のサービスが提供できるようになったのです。

 

訪問看護のニーズ

 訪問看護のニーズが高まり続けている背景には、高齢化が進んでいることがあります。

 高齢化が進行することによって、自分ではなかなか通院ができない、 在宅で寝たきりになってしまうといった、在宅療養者の比率が大きくなります。 そのため、訪問看護を求める声が増加していくのです。

 日本看護協会等が策定する「訪問看護アクションプラン2025」によると、 2025年には訪問看護に従事する職員が15万人以上必要になるとされています。

 これは、2025年には人口の5%以上を占めている団塊の世代が、全員後期高齢者になることが大きく影響しています。 このことにより、高齢化率が上がり訪問看護自体のニーズがより高まることが考えられているのです。

 2015年時点での訪問看護従事者は5万人強と、ニーズに対して供給が追いついておらず、人手が不足しています。 社会的に高齢者比率が高まっていくことで、訪問看護が医療や介護の中心を担っていくことが予想されています。

 そのため、今後も訪問看護従事者の需要はさらに高まっていくことでしょう。

 

訪問看護で提供するサービス

 訪問看護で提供するサービスは、多岐にわたります。

 まずは、体温や脈拍、血圧、症状の評価といった健康状態のチェックから始まり、 医療的ケアや日常生活のサポートなど、患者の症状に伴い提供するサービスは多岐にわたります。

 症状が重い場合には、主治医と密に連携をとって、医療措置から医療機器の管理や指導までおこなうケースもあるのです。 リハビリテーション看護や終末期を支えるエンドオブライフケア、認知症者の看護といったサービスも訪問看護では提供されます。

 在宅療養は、患者だけではなく家族の負担が大きいことも特徴です。 そのため、訪問看護では家族の心理的サポートもおこなうことが一般的です。

 介護や看護に関する相談、症状に関する相談、必要があれば患者会や家族会などの相談窓口を紹介する場合もあるでしょう。 入退院する場合には、その相談を受けたり必要に応じた在宅ケアサービスの紹介などもおこなったりします。

 医療的ケアはもちろんのこと、患者や家族の気持ちに寄りそって、 心身ともにサポートすることが訪問看護には求められるのです。

 

訪問看護を受けられる条件

 訪問看護を受けるためには、条件を満たしている必要があります。 介護保険で訪問看護を受けるのか、それとも医療保険で受けるのかによって条件は変わってきます。

 介護保険で訪問看護を受ける場合には、「65歳以上」であること、 「要支援、要介護認定を受ける第一号被保険者」であることが条件となっています。

 要支援1~2、要介護1~5に認定されている必要があるため、訪問看護制度を利用する前に、 介護認定を受ける必要があるのが特徴です。

 医療保険で訪問看護を受ける場合には、介護保険と違い年齢制限がありません。 そのため、病気や障害があるのなら小児から高齢者まで幅広い年代で利用することが可能です。

 ただし、病気などがあれば誰でも受けられるわけではありません。 「主治医によって訪問看護指示書を発行されている」ことが条件になるので、 訪問看護を希望する場合には主治医の判断を仰ぎましょう。

 

介護保険と医療保険の使い分け

 介護保険と医療保険、どちらの条件も満たしている場合には、介護保険のほうが優先して適用されます。 また、65歳以上で要支援や要介護認定を受けていない場合には、医療保険が適用されることになります。

 はじめは介護保険で訪問看護を受けていたけれども、末期がんなど症状が悪化する場合もあるでしょう。 症状の変化があった場合には、介護保険から医療保険に切り替わることもあります。

 また、厚生労働省が指定した難病にかかっている人、末期がんや人工呼吸器が必要な人、 深い床ずれがある人などは、介護保険の条件を満たしていた場合でも、医療保険が適用になります。

 どちらが適用されるか分からない場合にはまず、主治医に相談してみるといいでしょう。 65歳以上で要支援や要介護認定があるのなら、基本的には介護保険が適用になるため、 ケアマネージャーなどに相談します。

 ケアマネージャーが患者や家族の要望をくみ取って、適切な居宅サービス計画を立ててくれます。 65歳未満なら医療保険が適用になるため、最寄りの訪問看護ステーションまたは主治医に相談してみるといいでしょう。

 

訪問看護を提供する機関

 訪問看護を提供している機関はどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの機関について説明します。

 

1.訪問看護ステーション

 訪問看護ステーションは、介護保険法に基づいて運営されている事業所です。 都道府県知事の指定を受けて保健師または看護師が管理者となって運営をおこなっています。

 訪問看護ステーションでは、主な訪問看護従事者として看護師、准看護師、保健師、助産師が常勤しているのが特徴で、 最低でも常勤換算2.5名と定められています。

 また、これら以外にも理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を配置している事業所もあり、 リハビリテーションを実施するケースもあります。

 訪問看護ステーションは、独立した事業所であるため、利用者の主治医の所属機関を問わずに、 訪問看護指示書の交付によって利用することが可能です。

 保険医療機関ではありませんが、各種保険などが適用されるので、利用者の費用負担を軽減できます。 基本的には、かかった費用の1~3割負担となっており、通常の病院利用時の費用と同様です。

 訪問看護ステーションは全国に1万箇所以上設置されているので、 どのような地域に住んでいても比較的容易に利用できるようになっているのが特徴です。

 訪問看護ステーションがどこに設置されているのかは、 市役所・区役所などの介護保険担当部署やインターネットなどで公開されているので、検索してみるといいでしょう。

 

2.保険医療機関

 保険医療機関とは、病院や診療所のことを指しています。 院内に訪問看護部門を設けることで、訪問看護サービスを提供しています。

 保険医療機関での訪問看護は、介護保険法のみなし指定訪問看護事業所として扱われ、 訪問看護ステーションと同様に、介護保険・医療保険での訪問介護が可能です。

 保険医療機関での訪問看護では、主治医が担当することが一般的です。 医師が担当する場合には、訪問看護指示書の交付は不要となっており、診療録に指示が記載されることになります。

 

3.民間企業の訪問看護サービス

 民間企業が訪問看護サービスを提供しているケースもあります。 民間企業がおこなう訪問看護サービスでは、看護師などによるケアや看護を受けることが可能です。

 民間のサービスであるため、健康保険や介護保険などが適用されないのが特徴です。 利用料金については、各サービス機関によって異なりますが、 全額自己負担になるため保険適用の訪問看護よりは高額になりがちです。

 民間企業の訪問看護サービスは、利用者との契約でおこなわれるサービスです。 そのため、オリジナリティに富んだメニューが用意されているのが特徴となっています。

 たとえば、遠距離への外出支援や長時間の滞在なども可能で、幅広い支援が期待できるでしょう。 各種保険では対応が難しいケースであっても、民間企業なら対応してもらえる可能性が高くなっています。

 そのため、さまざまなサービスを受けたい、自由にサービスを選びたいという人には向いています。

 

訪問看護の利用可能回数・時間

 訪問介護の利用可能回数や時間は、どのように決められているのでしょうか。

 訪問看護は、公的保険を利用することによって、 費用負担が軽減されることがメリットとして挙げられますが、利用回数や時間などは制限されてしまいます。

 ですが、これも介護保険医療保険で異なります。

 

1.介護保険の訪問看護

 介護保険での訪問看護の場合には、 ケア内容に応じて20分、30分、1時間、1時間半の主に4区分の訪問時間から決められることになります。

 利用回数については、制限などはなく、ケアプランに組み込める範囲であれば何度でも利用可能です。

 介護保険の支給限度額の上限額は決まっているため、 その範囲内に収まるようにケアマネージャーがプランを立ててくれるでしょう。

 訪問看護が必要な場合には、ほかの介護保険サービスを必要としている人も多いため、 複数のサービスと訪問看護を合わせて利用するケースがほとんどです。

 そのため、限度額内で収めようと思うと、利用回数が少なくなりがちであることが現状としてあります。

 

2.医療保険の訪問看護

 医療保険での訪問看護では、ある程度の制限がかけられているのが特徴です。

 通常の場合には、週に3回まで利用可能となっています。 1回あたりの利用時間は、30分から1時間半程度とケア内容によって異なります。

 介護保険と違い、利用限度額などが定められていないため、 利用回数や利用時間の上限いっぱいまで利用できることも多くなっています。

 保険を使って訪問看護を受けることになるため、基本的な制限を設けていますが、 利用制限が外れる特別なケースも存在しています。

 それは、主治医から「特別訪問看護指示書」が発行された場合、厚生労働省が定める疾患などに該当する場合、 厚生労働省が定める状態などに該当する場合の3つが制限から外れるケースです。

 厚生労働省が定める疾患とは、末期の悪性腫瘍、多発性硬化症などのことを指します。 厚生労働省が定める状態とは、特別な管理が必要なケースのことで、膀胱留置カテーテルや在宅酸素療法、 週3回以上の点滴などが該当します。

 これらの条件に当てはまっているときには、週4回以上かつ1日に数回にわたる訪問看護も受けられます。 そうしたサービスを受けたい場合には、該当しているかどうか、医師や訪問看護ステーションに確認してみるといいでしょう。

 

訪問看護の担当者

 訪問看護の担当者は、保険や医療に関して、豊富な知識や技術を持っている看護職の人です。

 基本的には、看護師や准看護師、保健師などが訪問看護をおこなうことになります。

 また、患者の症状によってはリハビリテーションの専門職、理学療法士や作業療法士、 言語聴覚士などが、訪問看護をおこなうこともあるでしょう。

 訪問看護に従事している人は、訪問看護に必要な最新の知識やスキルを磨き、 トレーニングなどを受けて能力の向上を常におこなっています。

 そのため、患者や家族の気持ちに寄りそって、適切なケアや看護を提供することができます。

 

訪問看護に関する制度を正しく理解しよう

 高齢化が進み、在宅療養者の比率はますます大きくなっていくことが考えられます。 そのため、訪問看護を求める人の声も増加していくでしょう。

 今後は訪問看護師の需要も大きくなっていくことが予想されています。 訪問看護師として働くことに興味を持っているのであれば、 訪問看護制度についてしっかりと理解して、正しい知識を持っておくことが重要です。

 

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